いついつまでも手を振ろう

とある必然の奇跡について

はじまりの日

はじめまして。

こちらはこの春うっかりジャニーズJr.の沼へと足を踏み入れたV6ファンによるブログです。

転げたばかりの熱量が落ち着かないうちに、自分の身に起きた変化について書き残しておこうと思い開設してみました。ということで、完全なる個人的振り返り用覚え書きです。

何かに急激に心を奪われた時、人はどのように行動するのか。このブログに何か見どころがあるとすれば多分そのくらいですが、誰かひとりでも共感していただけたりおもしろがっていただけたりしたら幸いです。

最初は軽い気持ちでした

自担以外のメンバーの現場もきっちり押さえると専らの噂のV6ファン。滝沢歌舞伎に三宅の健くんが出ると決まった時は、例に漏れずわたしも(遂に滝沢歌舞伎を観る日が来るのね…)くらいのほんのりライトな気持ちでおりました。
というのも、親友がかつて滝沢歌舞伎を観劇した感想が今ひとつ好意的でないものだったため、わたしが観に行ってその世界観についていけるのか、そもそもチケット取れるのか、等々の不安も手伝い、さほどのテンション上昇には至らなかったのです。

そうこうしているうちに申し込み案内ハガキが到着。1公演だけ申し込もうか迷っているうち、複数のV6メンバーによる現場のお知らせが重なりました。その中には自担(坂本くん)の現場も含まれており、あれよあれよと滝沢歌舞伎の優先度は押し下げられてゆき…。

結局、1公演も申し込みをしませんでした。 


ところが幕が開いてみると、毎日毎日Twitterのタイムラインに流れてくる大量のレポが何やら楽しげです。
佐久間くんという子が健くん大好きらしい。
車で追いかけて来ちゃうくらい大好きらしい。なんだそれ。
増田くんという子はV6ファンクラブに入っているらしい。
林くんという子は座長のおすすめ。カミコンきっかけで事務所入りしたらしい。
ええ子や!

滝沢歌舞伎の世界に触れたことのないわたしには、レポで目にする演目の名前なども何が何やら。口上って何?おまるちゃんて誰?犬とは?

そんなわたしを観劇へと駆り立てたのは、健くんがソロ曲として『Maybe』を選んだと知ったことでした。
個人的にとても思い入れのある*1大好きな曲。健くんはソロで、あの曲をどんなふうに料理しているんだろう。気になる。めちゃくちゃ気になる。骨折というアクシデントに見舞われながらも日に日にそのパフォーマンスへの評価を上げていく様子も凄まじい。これは、観ておかなくては。どうしても。

そしてご縁をいただいて初観劇に至ったのは、公演期間も終盤に差し掛かった5月7日のことでした。
後に「土曜の林の日」と呼ばれることとなるこの公演に入ったのが、そもそもの運命だったのかもしれません。
とは言えその当時のわたしは健くんを見ることに命懸けでした。一度きりの観劇、悔いのないよう全力で三宅健のダンスを見届ける。その一心で、演舞場でお借りしたきれいな桜色のオペラグラス(浮かれすぎて自分の双眼鏡を持参するの忘れた)で健くんを追いました。

ただし健くんがステージ上にいつもいるとは限りません。タッキーもいないその間、さて誰を見ていようかな…と、冒頭でいっぱい出てきたJr.くんたちを漠然と眺めていた、その時。
ふと目に留まった人がいました。
単純に、好みのお顔。
黒髪が似合う。真面目そう。奥ゆかしい目鼻立ちがなんだか可愛い。
へええ!こんな感じの子もいるんだ。
ちょっと嬉しくなって、よしあの子見よう!と決定。察しのいい方は彼が誰なのかもうお判りかと思いますが、この時点ではまだまだわたしの認識はライトです。現にMaybe
でバックの子見てない。誰だったのかもわかってなかった。非常にもったいないことをやらかしました。
そうこうしているうち、やがて舞台にはたった1人、とてもシンプルな服を纏ったJr.くんが出てきました。
あ、さっきの、可愛い子。
1人で出てくるってことは、結構実力あるのかな。
…などと呑気なことを思っていたら。

突然のホラー。

聞いてないよ!
ホラー超苦手なわたし、後ろの映像がこわくてオペラグラスで語り手の彼を凝視、凝視、凝視。
彼はよく通る聡明そうな声と素晴らしい滑舌でナレーションを始めたかと思うと、みるみるうちに木こりの巳之吉に成り代わり、雪女のおふゆさんに変貌し…と、変幻自在の一人三役を演じたのでした。
舞台上で叫び、転がり、一方で恨みと呪いと哀しみの言葉を放つ、それらの役柄の切り替えが全く違和感なくできている。声色と表情と動きで、全てを表現できている。
下手をすると観客が置いてけぼりになってしまう危険を孕んだハードルの高い演目を、彼は完璧にやってのけていました。
何故、いま、ここで、雪女なのか。客席に貞子がいっぱい出てくるのか(貞子のいない2階席でよかった)。そんな素朴な疑問さえもいつしかどうでもよくなり、引き込まれていました。
この演目の間、わたしは滝沢歌舞伎ではなく、下北あたりの劇場に熟練の役者さんのお芝居を観に来たかのような錯覚に陥っていました。それはほんとうに、驚きの体験でした。

ちょっと、この子、上手すぎない?!何者?!! 

 

更には、タッキーと健くんのお化粧中に4人で現れ何やら歌い出したではありませんか…なぜか英語で。日本の四季を。これは一体何ぞや?と見守っているうち、やがて彼は大サビでスルッと前に出てきて鮮やかにソロパートを歌い上げました。

とんでもない美声で。

は?!歌まで?!上手すぎない??!!?アナタは誰????!!!!


後の口上で、その彼の名前が林翔太くんというのだと知った時、いくつかの点と点が美しく繋がりました。
レポで目にしていた、座長のお墨付きの林くん。カミコンの健くんに憧れて事務所入りし、今回の歌舞伎で共演するにあたり健くんにお手紙をしたためたという林くん。

あぁ、納得!!!お手紙書きそう!(そこか) 

 

それにしても見た目よし演じてよし歌ってよしの三拍子揃ったこんな人を隠し持ってるジャニーズJr.って何なの?!としか。層が厚いにも程がありません??

月並みな言い方でアレですが、もっと評価されるべき。心の底からそう思いました。

幕間にグッズ売り場へ飛んで行ったわたしは、林くんの写真を1枚だけ買いました。この日、林くんを「いいな」と思った気持ちを忘れずにいたいと思ったからです。

購入したのはSeasonsを歌っている時の写真で、表情が一番好きだったのと、リボンかわいいなって思って選びました。後から知ったのですが、あのお召し物わりと不評?なんですね。よく見ると…うん…。

 

二幕の鼠小僧はただただ楽しくて、特におまるちゃんには涙が出るほど笑わせてもらい、大好きになりました。ふっか君、芸達者。

 

わたしの中でジャニーズJr.の認識と言ったら剛健時代(しかも過去映像として見た)で止まっており、「元気いっぱいだけど荒削り」という極めて乱暴なものでしかなかったので、今回の滝沢歌舞伎で目にした大人なJr.のプロフェッショナリズムに深く深く感銘を受けたのでした。

いま、Jr.の世界はこうなっているのか…と。

 

V6は早い段階でバックにJr.をつけることをやめたため、2005年にファンになり、他グループを見ることもしなかったわたしにはJr.に対する免疫が何もありませんでした。

そんな事情もあいまって、実力あるJr.が躍動する滝沢歌舞伎が見せてくれた景色はとてつもなく新鮮で、眩しくて、儚くて、でも力強くて、胸がギュッと鳴るような魅力に溢れていて、一夜にして夢中にさせられてしまいました。

なんだかよくわからない部分もあったけど、とにかく凄いものを見た。そんな気持ちを抱いてふわふわしながら演舞場を後にした春の夜のことを、いつまでも記憶にとどめておけたらいいなと思っています。

人生が少しだけ変化した、はじまりの日の話でした。

*1:わたしのV6ファン歴は2005年から始まるのですが、途中2010年~2014年にかけて離脱期間があります。出戻るきっかけとなったのが『Maybe』のライブ映像でした。久し振りに見たV6が、年齢を重ねるとともに劣化するどころか目覚ましい進化を遂げていたことに衝撃を受けたのです。音像も演出もスタイリッシュの極み。大人アイドルだからこそできるパフォーマンスの白眉。もう絶対離れるまいと誓うには十分すぎる映像でした。